不妊治療11:未遂に終わった二段階移植
採卵の前日に遠方に住む祖父が亡くなったものの、なんとか採卵とお葬式の両方を全うすることができた私達は、予定通り、その周期のうちに新鮮胚移植に進むことになりました。
通算で4回目となる今回の移植では、先生に勧められた通り、二段階移植を試す予定にしていました。採卵の3日後に初期胚、5日後に胚盤胞を移植するというものです。
これは、2つの胚を移植することで単に着床する確率が2倍になる、ということだけでなく、初期胚を移植しておくことで、胚盤胞が着床し易い環境が整えられる、という効果があるということでした。
過去の移植でも同様に、排卵の3日後に子宮に刺激を与えるための処置をしてもらっていて、1回目の凍結胚移植では消毒、2回目の凍結胚移植では自己血リンパの注入を試しましたが、今回初期胚そのものを移植してしまうというのは、言わば最上級の処置となるものでした。
初期胚移植の前日の診察で、8個採卵したうち、成熟卵が6個、顕微授精で正常に受精したのが5個と聞きました。確かこのときも初期胚までは順調に育っており、採卵の3日後に、そのうち1つの8細胞に分割した胚を移植しました。
移植の日は、事前に病院に電話して移植できる胚があるかを確認するのですが、採卵の5日後、いつものように電話で確認したところ、胚盤胞まで育ったものが1つもないということでしいた。その日は午後から移植の予定で、午前中は出社していましたので、職場の机を離れてエレベーターホールの隅で電話していたのですが、あまりのショックに目眩がしそうでした。
ともかく、胚盤胞の移植はできないが、前々日に初期胚を移植しているので、この初期胚のみで勝負することになりました。黄体ホルモンの座薬等を追加で処方してもらう必要があったため、予定通り通院はすることになりました。
移植から判定日までは、仕事で担当しているプロジェクトも炎上していましたので、出張もこなしながら、判定日のことは気にし過ぎずに過ごせたと思います。
移植の10日後、プロジェクトが炎上して終わった頃に判定日があり、HCG16.9で、またもや陰性に終わりました。
仕事も不妊治療も成果を出せずに、その年度が終わってしまいました。
仕事のせいで採卵前や移植後なのにひどく身体が疲れたりイライラしたりするし、不妊治療のせいで就業時間や出張に制約があって思うように働けない。
私はこの負のスパイラルでへとへとになっていました。