おもちの日記

不妊治療の振り返り、現在の育児のこと、趣味のことを綴ります

不妊治療14:1回目の転院

判定日の先生からの説明

1つ目のクリニックでの2回の採卵、5回の移植が終わりました。

5回目の移植の判定日、先生からの説明はやはり、胚盤胞のグレードは見た目で判定していて、実際に着床するかどうかは移植してみないとわからない、ということでした。

そして、次の手として、ERAという着床の窓の検査を勧めていただきました。胚盤胞を移植する際は通常排卵の5日後としているが、たまに移植のタイミングをずらした方がうまくいる人がいるので、そのずれがないかを調べる検査ということでした。当時、そのクリニックはERAの検査を始めて間もない頃でしたが、そこそこの費用はかかるものの、検査結果を見て移植のタイミングを調整することで着床した例がそこそこあるということでした。

 

転院を決めた理由

先生からまた新たな検査を提案いただいたものの、この頃には、大変申し訳ないのですが、残念ながら私達夫婦はそのクリニックを信頼できなくなってしまっていました。今思い返すと、その理由は次の4点だったと思います。

  1. 1年で成果を出せないクリニックには見切りをつけるべき
  2. 夫への対策が精索静脈瘤手術以降何もない
  3. 胚盤胞の良し悪しを移植前に見分ける方法はあるが流産経験のある人にしか適用されない
  4. ちょっとしたミスがあった

1については、どこかのWebサイトで読んでなるほどと思ったことでした。クリニックによって、先生の判断も使う薬も培養液も異なり、合う・合わないの個人差が大きいので、今通い続けているクリニックが自分に合っていないリスクを頭の片隅にいれておくべき、ということだったと思います。

2は、私が感じていた違和感でした。元々私達の不妊治療は、夫の精子が少ないことからスタートし、いまだそれが改善していないのに、胚をいかに私の子宮に着床させるか、ということにばかり努力をしているように感じていました。夫については精索静脈瘤手術をした後は特に何もしていませんでした。顕微授精を行っていることが自体が対策であることはわかるのですが、それがうまくいかないとき、次の手段があまりないことが気にかかっていました。また、顕微授精においても、良さそうな精子を恐らく見た目で選ぶのだと思いますが、その選び方も職人の手に委ねられているのだろうと思うと、1とも関連して、なんとも心もとない気がしていました。

3は冒頭の判定日の説明の際、先生がおっしゃっていたのですが、少なくとも当時は、流産経験のある人には、いわゆる着床前診断と思われる、移植前に胚盤胞の遺伝子を調べることもしているようでした。ですが、まず妊娠すらしない私には矛盾した話に聞こえました。そして、後々Web等で調べるにつれ、これはこのクリニックの問題ではなく、日本産婦人科学会が着床前診断を規制していることが背景にあることがわかりました。同時に、どうやら神戸には、この学会をものともせず、着床前診断に取り組んでいるクリニックもあるということもわかりました。この件に関しては私よりなぜか夫の方が腹を立てていたと思います。

4は、大したミスではないのですが、1つのきっかけになった出来事でした。5回目の移植の後は治療をお休みをするつもりだったのですが、たくさん投薬もしていましたし、自分の身体の状態が不安だったので、次の周期の排卵日頃に一度通院しました。排卵日を見てもらえればタイミングをとれるかな、くらいに思っていたのですが、今から思えば、冷やかしともとれるので、やめておくべきでした。いつも移植の数日前には子宮の消毒をしてもらっていたのですが、内診の際に、同様の消毒をされそうになりました。先生が消毒の効果を説明くださったときに、内診台の上にいる私が気付いて、「移植する胚がないので、、、」と言って処置をお断りすることができました。この悲しい台詞を言う羽目になってしまった辛さはありましたが、これだけ多くの患者さんを抱えてお忙しい先生の元に、イレギュラーな通院をしてしまった自分が悪かったのだと思いました。同時に、これだけ多くの患者さんを抱えていらっしゃる先生は症例の数に困ることもないでしょうし、いつまでも成果を出せない患者はむしろ扱いに困るだろうなあと思ってしまった出来事でした。

 

信頼云々以前に、このクリニックに通院する生活が嫌になってしまったというのもあったと思います。通院の日は、朝病院を予約してから出社し、定時で退社して病院に向かい、病院の近辺で夕食をとりながら時間を調整して、順番を待って、診察を終えて帰宅したら22時くらいでもう疲れ切っている、というスケジュールでした。私自身、クリニックを選ぶ際は定時後に通院できることを条件にしましたし、同様の人が多くてクリニックも混むのだと理解はできるのですが、とにかく、通院そのものがつらくなっていました。

 

まだ夫の精索静脈瘤手術が終わって十分効果が出るまで経っていませんでしたし、2回の採卵も正直万全の状態で臨めたわけではありませんでしたので、ここで転院するのはフェアではないのではないかとも思いました。恐らく不眠不休で働いてくださっている先生と、一緒に成果を出したいという気持ちもありました。ですが、不妊治療において患者がフェアである必要はないし、何よりもうそこのクリニックで妊娠できる気がしなくなってしまっていたので、私達は転院することにしました。